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コエンザイムQ10

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コエンザイムQ10-健康効果の概要
by Dr. ベッキー・リー自然療法医師

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コエンザイムQ10-健康効果の概要




コエンザイムQ10-健康効果の概要

140万人を超えるカナダ人が心疾患に悩んでいますが、これはカナダでは主な死因の一つで、年間3万3600人を超えています[1]。心疾患には、心不全、狭心症、心筋症、冠状動脈疾患、弁障害、そして他の心臓に関連する病態があります。この驚異的な数の人々が、最善の心疾患治療法を求めていますが、コエンザイムQ10(CoQ10)は有望な治療法であることが示されました。


心臓についての事実 心臓についての事実

心臓は、重さが大人の人間で200-425gあり、化学エネルギーを機械エネルギーに極めて効率的に変換することが可能です。数字で表すと、心臓は毎分5リットル、毎日7200リットル、毎年260万リットルを超える血液を送り出しています。[2]

世界的に見て、高血圧症は主な心血管危険因子の一つです。おおよそ三分の二の患者さんは、薬物療法による適切な血圧のコントロールを達成していません[3]。収縮期血圧の5mmHgの低下は全死因死亡率の7%の低下と関連があることから、他の介入が極めて重要です。[4]

心不全の影響は深刻で、精巧な診断技法や治療にも関わらず、診断から5年以内の死亡リスクは50%を超えています[5]。血中CoQ10値は、鬱血性心不全では独立した予測因子であることが分かりました。[6]


CoQ10について

1957年に初めて牛のミトコンドリアから分離されたCoQ10あるいはユビキノンは、エネルギー要件が高い心筋細胞に極めて高濃度に含まれています[7]。ATP生成におけるその働きに加えて、CoQ10は脂質の過酸化を遅らせ、予防し、細胞膜安定化を促進します[8,9]。ミトコンドリアは特に酸化ダメージに弱いという事実から、ミトコンドリアを標的としたCoQ10のような抗酸化物質は、心血管や他の障害の予防や進行を抑えるための効果的な治療戦略でしょう。[10]

CoQ10は大部分が、心臓のような活動する内臓に含まれていますが、このような臓器は人々が歳を取るにつれ相当な衰えを見せます[11]。幾つかの試験では、CoQ10補給は、心筋症、高血圧症、狭心症、心臓弁膜症、そして心筋梗塞などの心血管障害に効果的であることが分かりました。[12, 13]


CoQ10を多く含む食品

CoQ10が多く含まれる食品は一般的に、牛肉、鶏肉、ブロッコリー、大豆油、魚油、ピーナッツ、イワシ、そしてサバです。しかし、食事から取るCoQ10の平均量は一日たった2-6mgで、これは、病気の状態にある体に効果をもたらすのに必要とされるレベルをまかなうには不十分です。[12, 13]


代謝および排泄 
胆管→ 大便 (60%)

経口→ 小腸 → 血液 → 肝臓

心臓および他の臓器

CoQ10は小腸から吸収され、血液循環中に取り込まれます。そして肝臓に運ばれ、そこで生体内変化が起こり、主に胆管から排泄されます。このプロセスでは、摂取した量のうちのほんのわずかが、心臓、副腎、腎臓、そして肺のような他の臓器へ運ばれます。[14, 15]


吸収性と容量 吸収性と容量

その脂肪親和(あるいは脂肪を好む)性質が理由で、CoQ10は食事と共に、あるいは乳化された形で摂取する際に最も良く吸収されます。用量を複数回に分けて服用するのも、吸収性を最大限に高め、それと同時に副作用の可能性を最小限に抑えます。[14]

どのような形のCoQ10が最も良いものなのでしょうか?ある情報によると、CoQ10の還元型であるユビキノールは、吸収性がユビキノンの二倍以上高いことが報告されました[16]。ユビキノールは劇的に改善した吸収性を有し、その利用はCoQ10値の改善および好ましい臨床転帰と相関があることが分かりましたが、これは一日最大900mgのユビキノンですら達成不可能でした[17]。しかし、摂取するCoQ10の形態はそれほど重要でない可能性も報告されました。ユビキノンは腸での吸収の最中あるいは吸収後に還元される模様で、その結果、CoQ10 摂取後には95%以上がより活性の高いユビキノールの形で血流中に存在します[11]。どの形態が最善なのかは未だに不明です。

健康な人にとってのCoQ10の用量は一日30-100mgの範囲で[11]、異なる病態を治療する場合には一日60-300mgが推奨されています[13]。耐容性および安全性に優れていることから、成人の最大用量は1200mg/日です。sup>[18]

正常な血中値は0.7-1.0μg/mLの範囲で、CoQ10欠乏症予防および正常な血清濃度維持のためには30-60mgの用量が用いられます[13]。しかし、臨床的に有用な値は、血中CoQ10の正常値を超えた正常値の2-4倍となる可能性があります。実際、一日450mgのCoQ10は血清値4μg/mLを達成することが分かりましたが、これは重症の心不全の経過を覆すのに大成功を収めました。[13]

これらの値を上昇させるのには数日から数ヶ月かかる可能性があります。一日100mgのCoQ10の経口投与を2-8ヶ月行った結果、心筋症患者の心筋CoQ10 の値に20-85%の増加がもたらされました[8,19]。このように、血清CoQ10の増加がゆっくりとしていることから、臨床改善は、初期治療開始から通常1-4週後に見られ、臨床的有益性が最大に達するまでには数ヶ月かかる可能性があります。[13]


作用機構

CoQ10は、複数の遺伝子発現を標的にするというような、幾つかの方法で働くようです。このような遺伝子調節や代謝コントロールは、CoQ10による心血管他に対する多くの作用を説明するかも知れません[20]。CoQ10の高血圧の症例における薬効は、その血管壁へ直接の作用することで抵抗が減少した結果です。フリーラジカルは一酸化窒素を不活性化し、一酸化窒素の媒介による血管壁の平滑筋層の弛緩を妨げます。CoQ10は、フリーラジカルのスカベンジャーとして作用することで、血管収縮とその結果としてもたらされる血圧上昇とを防ぎます[21]。冠動脈性心疾患および心筋梗塞に関しては、CoQ10がミトコンドリアによるエネルギー生産へ直接影響を及ぼし、心不全のATP利用可能性を改善することで、これらの病態に利益をもたらすと考えられています。[13]


副作用 副作用

鬱血性心不全の患者さん3500人を対象とした、ある長期間の試験で報告された副作用は、軽い胃腸の不調のみでした[22]。CoQ10補給は、最大600mg/日の用量まで副作用がなく、最大1200mg/日まで耐容性および安全性が良好であることが分かりました[18]。腹部不快感のある可能性の他に、吐き気、嘔吐、下痢、そして食欲不振、アレルギー性皮疹と頭痛も、希な場合ですが、報告されました。CoQ10の抗血小板作用は、特に抗血小板薬の治療中の人たちにとっては、出血のリスクを上昇させるかも知れないことが報告されています[15]。しかし、そのビタミンK様の作用から、ワルファリンの抗凝固作用に逆らうような働きもするかも知れません。[23]


研究によって示唆されていること

あるCoQ10の試験では、異なる種類の心筋疾患の患者さんたち424人を対象に調査が行われました[24]。患者さんたちに、一日平均240mgのCoQ10の治療を施し、おおよそ平均一年半追跡しました。ニューヨーク心臓協会(NYHA: New York Heart Association)機能分類(表1)に著しい改善が見られました。患者さんの58%がNYHAのクラスを1つ改善し、28%が2つ、1.2%が3つ改善しました。一ヶ月以内に、心筋機能が測定可能な程度に改善しました。通常6ヶ月後までに最大の改善が得られ、この改善は大多数の患者さんたちで維持されました。43%は1-3種類の投薬をやめるに至り、薬一種類を追加したのはたった6%でした。CoQ10補給をやめると、一ヶ月以内に心筋機能に測定可能となる程度の衰えが生じ、治療前の測定値への逓減が3-6ヶ月以内に起こりました。[24, 25]

表1:ニューヨーク心臓協会(NYHA)機能的能力分類 (Chavey 2001)
分類説明
I無症状
II中程度の労作に症状が伴われる
III最小限の労作に症状が伴われる
IV安静時に症状が伴われる

高齢人口は、抗高血圧薬の使用で起立性低血圧の発生率が高まり、転倒のリスクおよび関連する罹患率の増加の問題があるかも知れないことから、CoQ10を利用する価値があるかも知れません。1991年および1997年の二つの大規模な臨床試験では、年齢60歳を超える収縮期高血圧(収縮期血圧>140、拡張期血圧<90)の成人で、収縮期血圧を20mmHg低下させると、卒中や心不全の発生率そして死亡率を低下させることが確認されました[26,17]。表2は、高血圧におけるCoQ10についての幾つかに臨床試験および心血管疾患におけるCoQ10の試験の概要です。

表2:高血圧症および心血管病におけるCoQ10の臨床試験 試験対象の心
         の最大用量まで増加しました                       8-12週間の期間のための                               対コントロールの                                                    
研究デザイン 疾患 CoQ10用量 結果
二重盲検、プラセボ対照、無作為化のn = 38(28)特発性拡張型心筋症二、三分割された用量での2mg / kg /日は、10ミリグラム/ kg /日耐性/副作用に応じて補充の6ヵ月後、15歳までの子供8ヶ月は、対照群と比較して拡張機能(P = 0.011)のグレーディングに有意な改善を示した。 [28] (0.024 = P、9.0)この試験群(5.8)のための心不全の指標もコントロールより低かったわけ。
はCoQ10の拡張機能を改善し、拡張型心筋症の小児に心不全を改善するために登場しました。< / TD>   
メタ分析(12臨床試験)は、n = 352(20)高血圧 100〜120ミリグラム/ D このメタ分析は、4つの前向き無作為化試験および8を含めた前と後の研究。 [20] コエンザイムQ10などの多くの17としてmmHgでかつ拡張期血圧により収縮期血圧を低下させることが見出されました最大10 mmHgの。
二重盲検、プラセボ対照、無作為化のn = 39(29)クラスIIとIIIの収縮期心不全 50 mgを一日三回コエンザイムQ10・グループは0.5クラスを示した(p = 0.01)NYHA分類の改善だけでなく、6分歩行テスト距離が大幅に増加した(p = 0.047)および運動耐容能の増加(P = 0.056)グループ。 [29]
二重盲検、プラセボ対照、無作為化のn = 42(30)エンドステージ心不全 120ミリグラム/ D 12週間後、下部呼吸困難の発生率(14.3対52.4%、P <0.05)、動悸(9.5対85.7%、P <0.02)、及び弱(19.0%の対52.4%、P <0.05 )対対照試験群で見られた。 [30] 同様に、駆出率の大幅な削減、左心室壁の厚さや質量、ならびにエンド収縮期および拡張期のボリュームを終わらせるには、中に発見されましたコエンザイムQ10グループ。
二重盲検、プラセボ対照、無作為化のn = 76(31)絶縁収縮期高血圧 60 mgを一日二回高齢男性と女性の年齢50から75年の間に、17.8±7.3 mmHgでの収縮期血圧の平均減少は、治療群では12週間後に見られた。患者の [31] 55%このグループではSBPで≥4 mmHgの削減を達成しました。患者のいずれも、起立性血圧の変化を示さなかった。

臨床的意義

心疾患患者にCoQ10を用いることは有用であるだけでなく、心疾患患者の臨床改善を達成するために不可欠です。この分野におけるより多くの研究が必要であると同時に、これまでにその利用についての肯定的な結果を示す充分な研究が存在します。その低い副作用プロファイルおよび毒性のない性質から、CoQ10は、全ての年齢群の広範にわたる心血管疾患に対して用いることが可能です。

この記事や他で述べられたような肯定的な結果に続いて、日本、ハンガリー、イタリア、ノルウェー、そしてデンマークの様な国々では現在、心不全や虚血性心疾患に対する医師によるCoQ10の処方が認められていますが [32]、これはCoQ10の価値が認められ、CoQ10のより頻繁でより広範な利用を奨励する動向です。