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痛みを除去する-自然療法的アプローチ

Tal Friedman
BKin, ND

2 July 2014
日本語

痛みを除去する-自然療法的アプローチ
by: タル・フリードマン文学士(運動学)・自然療法医師

トロント、オンタリオ州



痛みは生活の質を悪化させます

痛みは生活の質を悪化させます

今日では、以前にも増して多くの人たちが自然療法的治療を、不安、糖尿病、抑うつそして心血管疾患といった、しかしこれらに限られないような、特に長期にわたって持続する病態に対して求めています。多くの人たちがはっきりと自覚していないのは、急性損傷に加えて、骨関節炎といった過去の怪我や他の病態が原因の慢性痛の症例に対する治療についても、自然療法医は良く訓練されていることです。最近の怪我であろうとも長期にわたり持続する病態であろうとも、痛みを扱うのは非常に困難な可能性があります。怪我による痛みは日常生活の活動に大きな影響を与えます。背伸びして食器棚からコップを取ったり、食料品を取るために屈んだりというような単純なタスクが耐えがたく、時には見たところでは不可能となる可能性があります。これらの生活の質や日常生活の活動に対する影響が理由で、損傷した組織を治癒し、痛みと炎症を軽減し、そして全体的な生活の質を向上させるのを支援するような、最も安全で最も効果的な治療法を追求する必要性が常時存在します。

痛みの管理を助けるのに用いられる数々の治療が存在します。食事と生活習慣の見直しおよび多数の物理療法や用手療法は様々な病気を持つ人たちの多くにとって、非常に役に立つ可能性があります。炎症を引き起こす食品の除去は、時には炎症を軽減し、体の資源を他の領域に集中させるのを助けるかも知れません。定期的に行う軽度の運動およびストレッチは、痛みを緩和し、関節可動域を改善し、将来の怪我を予防するのを助けます。運動は、ほとんど全ての治療計画で健康にプラスとなりますが、年齢、デモグラフィック、病歴に応じて個別化するのが最良です。この記事では、非常に有望な臨床研究で支持されている、痛みや炎症にきわめて大きく影響する可能性のある数々のサプリメントに焦点を当てましょう。特に、クルクミン、乳香樹(boswellia)やブロメラインについて検討します。これら三つの治療法は、スポーツ外傷からリウマチ性関節炎までの全ての範囲の複数の急性および慢性の病態を、自然療法医が成功裏に治療するのに利用されました。全ての天然サプリメントと同様に、これら三つは比較的安全な傾向がありますが、全ての治療には副作用の可能性があります。ハーブ治療オプションということになると、アレルギーという、事前に検査を受ける必要のある副作用の可能性が常にあります。


クルクミン クルクミン

Tターメリックは植物のCurcuma longaに由来します。ターメリックはインド亜大陸で一般的に使われている黄金色のスパイスで、その広大な健康効果のためだけでなく、食物保存や布地の黄色染料としても使われます[1]。クルクミンはターメリックにその深い黄金色を与えるものですが、それが最初に分離されたのは200年近く昔のことで、その限りない健康効果は今日でもまだ研究されています。ガン、関節炎、糖尿病、心血管疾患、骨粗しょう症、アルツハイマー病他といった多数の病態に対するそのプラスの効果が示さる研究が発表されたことから、近頃、クルクミンは好意的に報道されました[2]。クルクミンの魔法は、炎症を減少させるその強力な力に由来します[3]。クルクミンは、とある主要な炎症プロセスである核内因子カッパΒ(NF-κB: nuclear factor-kappaB)を抑制する力があります。核内因子カッパΒは、炎症に携わる遺伝子の多くをコントロールし、過敏性大腸症候群やアテローム性動脈硬化のような慢性病の多くで、しばしば慢性的に活性化しているのが確認されています[4]

怪我の治療や痛みの緩和を行う際に、強力な抗炎症作用は特に重要です。多くの人々は痛みの除去を求める際にしばしば、タイレノール(訳者注:アセトアミノフェン)やアドヴィル(訳者注:イブプロフェン)といった市販の鎮痛剤に手を伸ばします。実際に、これらの鎮痛剤は北米および欧州では最も一般的に処方される薬のうちのいくつかです[5]。これらの非ステロイド抗炎症剤(NSAID: non-steroidal anti-inflammatory drugs)は効果的ですが、しばしば多数の禁忌および副作用、中でもとりわけ胃潰瘍が存在します[5]。クルクミンは安全で効果的な非ステロイド抗炎症剤常用の代替のように見えます。最近のある研究では、活動性関節リウマチ(RA: Rheumatoid Arthritis)の治療におけるクルクミンの効能を調査しました[6]。この研究で参加者たちは、投薬治療と併用した一日500mgのクルクミン、一日500mgのクルクミン単独、あるいは投薬治療単独のうちのいずれかの投与を受けました。この研究での発見は非常に心を動かされずにはおれないものでした。クルクミン単独群が著しく改善し、調査終了(8週間)までに疾患活動性スコアが44.5%減少し、そして疼痛スコアも60%減少しました。血液検査の炎症マーカーも、クルクミン投与を受けた群で著しく減少しました。血中マーカーのC反応性タンパク(炎症マーカーの一つ)は、クルクミンかつ投薬治療群の26.9%低下および投薬単独群の1.5%上昇と比較して、クルクミン単独群で52%の低下がありました[6]。クルクミンはしばしばその活性成分が標準化され、そしてしばしばキャリアと結合しています。サプリメントのキャリア部分は、それがなければクルクミンの吸収が非常に難しいことから、通常はクルクミンの吸収を促進するために添加されます。高品質サプリメントでは、製品ラベル上にこれが明記されていることでしょう。


乳香樹 乳香樹

インドフランキンセンスとしても知られる乳香樹はインド、北アフリカそして中東のいくつかの地域に生息する樹木です[7]。この木の樹皮が剥がれる際に、ねばねばした樹脂が見られます。これが、その薬効性により千年近く使われてきた樹脂です[7]。クルクミンと同様に、乳香樹の鍵はその強力な抗炎症作用です。リウマチ性関節炎、クローン病および大腸炎といった病態の治療における乳香樹の効能を調査する数々の研究がありました。ここでもクルクミンと同様に、炎症プロセスに支配される多くの疾患が、乳香樹により治癒する可能性が示されました。乳香樹の抽出物は、5リポキシゲナーゼ(5-LOX: 5-lipoxygenase)の強力な阻害剤であることが立証されましたが、5リポキシゲナーゼは細胞レベルの炎症カスケードにおけるアラキドン酸からロイコトリエンへの生合成の主要酵素です[8]。この酵素を阻害することで、乳香樹は炎症の主要前駆体の一つを止めることができます。

最近、特化した乳香樹抽出物の一つである5ロキシンが、臨床試験で非常に印象的な結果を示しました。膝骨関節炎の患者を対象とした5ロキシンに関する90日間の試験では、参加者たちに100mgの5ロキシン、200mgの5ロキシンあるいはプラセボを服用してもらい、転帰を追跡しました[8]。この研究から得られた最も驚くべき数値は、5ロキシンの両群で疼痛スコアおよび身体能力スコアの著しい改善が7日以内に見られたというものです。これらの数値は研究期間を通して改善が続きました。この研究から得られたもう一つの興味深い注目事項は、メタプロテイナーゼ-3と呼ばれる酵素に対して乳香樹が及ぼす作用です。この酵素は膝中の滑液中に含まれ、骨関節炎で見られる何らかの軟退化の原因である可能性のあるものです[8]。5ロキシンの両群では、この酵素の著しい減少が見られ、高用量群でより大きな減少がありました。これらの結果は、特に使用1週間以内での著しい痛みの軽減および機能の改善という点で、非常に印象的です。他のハーブの選択肢と比較した際に、乳香樹は最高の絶対的安全性を誇ります。きわめて長期間の使用歴があり、非常に限られた副作用で、事実上この使用に関わる安全性の懸念はありません。一般的に乳香樹は、他の抗炎症ハーブと対になったサプリメントに含まれていることでしょう。乳香樹は、タブレットの形(この場合は通常は乾燥標準化抽出物)で、あるいはチンキ剤の形(この場合は植物全体のアルコール抽出物)で、提供されるでしょう。これらの両方の形が臨床で効果的です。


ブロメライン ブロメライン

ブロメラインはタンパク質分解酵素として知られていることから、先にお話ししたクルクミンや乳香樹とは少し異なります。タンパク質分解酵素は文字通り、タンパク質を分解し、適当な組織治癒を起こり易くします[9]。厳密にこの目的で、タンパク質分解酵素は医療コミュニティでかなり長い間、傷の治癒および術後ケアで使われてきました[9]。ブロメライン自体は、パイナップル、主に幹部分の濃縮成分由来の抽出物です[10]。ブロメラインには、抗炎症作用および鎮痛あるいは痛み軽減作用があることが示されています[10]。ブロメラインは、炎症および痛みの両方の経路を直接調整することができるため、これは興味深いです。

膝骨関節炎の管理において、ブロメライン含有サプリメントを薬剤ジクロフェナクと比較したある研究では、いくつかの興味深い結果が生まれました。サプリメントは薬剤よりも安静時疼痛の軽減に良く、薬剤と同様に一般的な疼痛軽減に良いことが分かりました[11]。この研究では、サプリメントが関節機能の制限を10%改善したのに対して、薬剤は研究期間にわたって何も改善を示さないことも分かりました[11]。ブロメラインは、術後の治癒を促進するのを助けることも可能です。ある研究では、骨折修復手術を受けた患者たちがブロメラインあるいはプラセボを含むサプリメントの投与を術後2週間受けました。このサプリメントの投与を受けた参加者たちは、必要とした鎮痛剤の量がより少なく、腫れがより小さく、全体として回復期間がより迅速で快適なものでした[12]

疼痛と共に生きることは、急性であろうと慢性であろうと、きわめて困難が伴われます。疼痛のせいで、日々のタスクが耐えがたく、あるいはほとんど実行不可能であるように思わせられるかも知れません。多くの場合、痛みや腫れの少しの軽減でさえ、その人の全体的な生活の質に大きな影響を与える可能性があります。ここで検討したサプリメントは、疼痛管理のための強力でかつ効果的な治療法です。この記事では、サプリメントに焦点を当てましたが、疼痛管理のために他の多数の治療法が利用可能です。食事およびライフスタイルの見直しはいつでも重要ですが、他の治療法には鍼、マッサージ、理学療法や関節徒手整復といったものがあります。良く考え抜かれた包括的治療計画はいつも、あなたが痛みを管理し、幸せで健康的な生活を送らせるのを助ける最善策です。いつもの通り、これらのサプリメントを服用する前には、そのことを医療提供者に話して下さい。彼らはあなたのニーズに特化して作られた治療計画を見つけ出すのを助けるためにいるのです。