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甲状腺機能低下症

日本語
Dr. アシュレー・コワルスキ
Hampton Wellness Centre
1419 Carling Avenue Suite 209
Ottawa, ON K1Z 7L6
Website: www.ashleykowalskind.com







Hypothyroidism: Causes and Management 甲状腺機能低下症とは?

甲状腺機能低下症は、甲状腺の活動異常を表すために使われる用語です。甲状腺機能低下症は潜在性、原発性、あるいは続発性といった “タイプ“に応じて更に分類されます。甲状腺の主な働きは、正常な成長、発達、そして組織分化に必要とされる代謝プロセスを調節することです[1]。この記事で掘り下げますが、甲状腺は様々な理由で”反応が鈍く“なる可能性があります。通常、甲状腺および周辺組織ではチロキシン(T4)からより活性の高い形態であるトリヨードチロニン(T3)への転換が行われます。甲状腺ホルモンの生産は、視床下部から分泌される甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン(TRH: thyrotropin-releasing hormone)の値、下垂体から分泌される甲状腺刺激ホルモン(TSH: thyroid stimulating hormone)の値、そしてヨウ素およびチロシンの利用可能性といった様々な要素の影響を受けます。TSHの生産は、視床下部、下垂体、そして甲状腺間のフィードバックループにより調節されています[2]。甲状腺機能低下症は、基礎代謝速度(BMR: basal metabolic rate)の鈍化を引き起こしますが、これは最終的に体重増加をもたらします。甲状腺機能低下症の他の兆候および症状には、不規則な便通(便秘)、低エネルギー、乾燥肌、抜け毛、短気、精神障害、風邪への不耐性、関節痛・筋肉痛、そして反射の鈍化あるいは喪失の他にも多数があります。これらの症状の全てが必ずしも甲状腺機能低下症で現れる訳ではないことを留意して下さい。

甲状腺機能低下症の原因 Hypothyroidism: Causes and Management

一般的な甲状腺機能低下症の原因は橋本病[3]ですが、これは一般人口の5%が罹患していると見積もられており、最も罹患率の高い自己免疫疾患のうちの一つです。女性全体のおよそ10-20%が発症し、男性はそれよりも少ないことが報告されています[4]。橋本病は、自己を標的とするTリンパ球およびBリンパ球の甲状腺への侵入による[4]、T細胞媒介免疫障害であると考えられています[5]。橋本病の診断を受けた人には他の自己免疫疾患も現れる可能性があるため、共在する自己免疫疾患の検査を受けることが大切です[5]。甲状腺の調節異常では、(ノルアドレナリン、コルチゾール、そして副腎皮質刺激ホルモンの分泌の引き金となるため)ストレスが決定的な役割を果たす可能性があります。これらのホルモンにはTSH分泌の阻害作用があり、T4からT3への転換に携わる酵素を抑制します[6]。 胃腸の健康状態が好ましくないことも、自己免疫甲状腺炎の原因となります。免疫システムの70-80%が胃腸管に存在することはご存知でしたか?ストレスのようなライフスタイルの要因、薬・抗生剤の使用、そして貧しい食生活は、胃腸管の正常な働きと健康とに直接大きな影響を与えます。胃腸管がその正常な働きを失うと、結果として免疫システムが混乱し、体は間違いを犯します!腸過敏症の場合、免疫システムは本来ならば無害な抗原(食物のような)を異物と認識してそれらに対して免疫反応を起こします。特定の食物のたんぱく質の構造は、甲状腺のそれと類似しており、体が自分に背を向け自己免疫反応を起こす結果、交差反応が起こるかも知れません。傍注ですが、その結果として胃腸の健康不良がもたらされ、腫脹、ガス、便秘、胸焼け、腹痛といったものが起こる可能性がありますが、これらは胃腸管の健康不良と相関のある症状のほんの幾つかに過ぎません!

スクリーニング Hypothyroidism: Causes and Management

あなたの主治医は、甲状腺の活動異常の兆候および症状のスクリーニングを行うでしょう。彼(女)は、甲状腺の状態を調べるための甲状腺パネル(24時間尿排出検査によるヨウ素も含まれているかも知れません)を指示し、小結節や異常を評価するための理学検査を行うでしょう。触診で小結節が見付かれば、甲状腺を調べるための超音波の指示もあるかも知れません。甲状腺機能低下症では、TSHは上昇しT4およびT3は低下する傾向があります。理学検査の結果、甲状腺ペルオキシダーゼ(TPO: thyroid peroxidase)およびチログロブリン(TG: thyroglobulin)抗体の上昇があれば、これは甲状腺が“攻撃”を受けていることを示しています。

治療のためのナチュラルなアプローチ

食事介入

Hypothyroidism: Causes and Management

ブルテンフリー食:グルテンのたんぱく質構造は甲状腺のたんぱく質と交差作用を起こします。複数の研究により、厳格なグルテンフリー食の患者さんの改善が示されています。食事からグルテンを除くと、抗体レベルが低下し、甲状腺機能が回復します。他にも食事から除去すべき厄介な食物があるかも知れません[7]

たんぱく質摂取を増やす:たんぱく質はチロシンおよびストレスホルモン(例えばカテコールアミン)の生産のための前駆物質であることから、これは重要です[6]

栄養介入 Hypothyroidism: Causes and Management

ヨウ素:甲状腺機能および甲状腺ホルモンの合成に必要とされる微量栄養素であるヨウ素は、魚介類、動物性食品、そしてクランベリーやイチゴのような果物から得られます。摂取量:妊娠中あるいは授乳中(250mcg/日)でなければ、150mcg/日を目安にして下さい。一方で、僅かあるいは多少のヨウ素過剰(>220mcg/日)は甲状腺機能低下症発症(正確なメカニズムはまだ明らかとされていません)の頻度増加と関連があることが多数の調査により示されています。ある最近の研究は、甲状腺機能低下症の発症で見られる甲状腺濾胞細胞のアポトーシスが、ヨウ素過剰により誘発される自食を抑制する原因であるらしいことを示唆しています。ヨウ素の高量服用は橋本病では勧められません[5]

セレン:これは活性甲状腺ホルモン(T3)の生産を高め、炎症反応および免疫反応を変化させる微量栄養素です。セレンのない状態では、(代謝的に不活性な)リバースT3が生産されます。セレンは特にブラシルナッツ、マグロおよび牡蠣のような食物に多く含まれています。食事からの推奨摂取量は一日55mcgから75mcgの間です。三件のメタ分析により、セレン補給によるTPOおよびTG交代の抑制作用が確認されました。後者の研究の患者群は、200mcgのセレノメチオニンの補給を受けました。橋本病患者がセレン補給で利益を享受するか否かを予測するために、臨床家はまず患者さんのヨウ素ステータスを検査しなければなりません[9]。

Hypothyroidism: Causes and Management

ビタミンD:幾つかの研究では、ビタミンD不足と甲状腺自己免疫との相関が示されました。ビタミンD補給、特に肌の日光への曝露は共に、ビタミンD不足の患者さんの甲状腺ぺルオキシダーゼ抗体の減少に効果があります。ビタミンDには免疫を調節する働きがあります。ビタミンDは脂溶性ビタミンであるため体内に蓄積し、高服用量ではカルシウム蓄積(高カルシウム血症)や腎結石のような有害性があるかも知れないため、補給に先立ちビタミンD値の検査を受けることが大切です。心疾患リスクの高い人に対しては、ビタミンDと一緒にビタミンKも処方される可能性があります。ビタミンK値の高い状態は、冠状動脈高カルシウム血症、心血管疾患、そして死亡のリスク低下と関連があります[10]。

ハーブ介入

Withania somnifera:このハーブは適応助成物質で、ストレス反応およびストレス関連症状を和らげます。このハーブはT4からT3への転換を支えることから、正常な甲状腺機能に効果があるでしょう[6]

結論 Hypothyroidism: Causes and Management

甲状腺機能低下症は、自己免疫の攻撃、消化関連の健康不良、栄養不足に加えて副腎疲労から起こる可能性があります。一般的な治療方法には、食物アレルギーの除外、胃腸管の治癒、免疫システムの調整および炎症の軽減(橋本病の場合)、甲状腺機能に必要な前駆物質に関連する栄養の補給、そして内分泌システムに対するストレスの影響を小さくするための副腎サポートといったものがあります。自然療法医学では、食事、栄養補給、そしてハーブ薬によって甲状腺の問題に取り組みます。甲状腺の問題について自己診断や治療をする前に、自然療法医に相談して下さい。