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急性・慢性じんましん-自然療法的アプローチ

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急性・慢性じんましん-自然療法的アプローチ
By: Heidi Fritz MA, ND
Bolton Naturopathic Clinic
64 King St W, Bolton, ON L7E1C7
www.boltonnaturopathic.ca
info@boltonnaturopathic.ca


Acute and Chronic Hives - Naturopathic Approaches


はじめに

じんましんは、赤あるいは白い痒みを伴う、みみず腫れを引き起こすような皮膚反応によって発症します。じんましんの大きさは様々であり、反応の進行具合に応じて、現れたり消えたりします[1]。じんましんの形は一般に円あるいは楕円です。じんましんが慢性的に起こる場合、これは慢性じんましんと呼ばれます。通常、慢性じんましんは、みみず腫れが6週間以上継続するか、それが定期的に再発します。このような一群の皮膚反応を、この記事では単純に、じんましんと呼びましょう。

急性じんましんは慢性じんましんよりも一般的で、症例全体のおおよそ70%を占めています[2]。通常、急性じんましんはアレルギー反応(1型過敏性反応と呼ばれる)に分類されます。これは何らかのアレルギーのきっかけが存在するという意味です。引き金は、薬剤であったり、食物や食品群であったり、あるいは虫さされかも知れません。それが発見されることもあれば、謎のままのこともあります。感情的あるいは身体的な何かですら、引き金となる可能性があります。ストレスや不安もそうでしょう。全ての発汗(例えば運動による)は引き金となる可能性があります。最後に、感染(これはバクテリア、寄生虫やウィルスの可能性があります)がトリガーとなる人もいるでしょう。このように、多くの潜在的原因が存在する場合には、とりわけ特定の引き金を切り分けることは困難です。

慢性じんましんは、その根本原因がしばしば慢性的な病態と関連があることから、原因の発見はより簡単です。自己免疫疾患(SLE、甲状腺疾患やジェーグレン症候群のような病態)は慢性じんましんと関連があります。これらは通常、理学検査で発見され、多種類の自己抗体を同定出来ます。胃腸管のがんや肺がんは、一般に慢性じんましんの原因です。その様な場合の原因の特定は、根本原因となる特定のがんに依存しています。慢性じんましんのもう一つの原因は、ホルモンの値が上昇する内分泌異常で、これも同様に検査室で直接測定することにより発見が可能です。

最後に、もし他の原因が見つからなければ、慢性特発性じんましんの診断が下されますが、これは、医師が原因を見つけられない再発性のじんましんという意味です。これは症状を分類するという意図で作られた病名で、除外診断(全てのものが除外されるまではこの病名を診断に使ってはならないという意味)と考えられています。この記事では、じんましんのための従来の治療法を概観し、そして利用可能な自然療法的取り組みを見て行きましょう。

Acute and Chronic Hives - Naturopathic Approaches

従来の治療法

何よりも先ず、もし急性じんましんの引き金が同定されたら、その引き金を避けなければなりません(常識的に考えて可能な時は常に)。例えば、もしあなたがパイナップルにじんましんのアレルギー反応があるならば、パイナップルを摂取するのを止めて下さい。しかし、運動が引き金となることを発見した場合は、ただ運動やめるというのは実行可能ではありません。代わりに、特定の状態に原因を狭めようと試みるのがより合理的です。走っている時にじんましんが起こりましたか?ジョギングの時はどうですか?心拍数が特定のレベルに達すると起こりますか?重量挙げ、あるいは水泳をしている時に起こりますか?もしじんましんに耐えられる種類の運動があれば、これら運動に集中すると同時にトリガーとなる運動は最小限に抑えることで、あなたのライフスタイルを改めることが可能です。

同様に、慢性じんましんも、もし根本原因となる病気の診断を受けたら、先ずその病気の治療に重点を置くべきです。一般に、自己免疫疾患は、炎症の軽減を促すために、様々な免疫抑制剤やステロイドで治療します。がんは薬剤や化学療法で治療します。内分泌の異常はしばしば薬やホルモン補充で正します。じんましんについては、単純に根本的な問題を治療するような提案ができないことから、慢性特発性じんましんの治療に対するアプローチについて集中的に議論しましょう。

非特異的対症療法には、水風呂に入る、お湯や温かい環境を避ける、そして緩い服を着るといったものがあります。しかし、トリガーを避け根本原因を管理する以外の、従来の治療法の柱は坑ヒスタミン剤です[2]。通常、坑ヒスタミン剤は、定期的に服用しなければなりません。ここでは、多くの坑ヒスタミン剤で眠気が誘われることが唯一の注意点ですので、服用する特定の種類の坑ヒスタミン剤に注意して下さい。坑ヒスタミン剤は、慢性特発性じんましんの患者さんには効果がないかも知れません。その他に主に用いられる治療法は、全身性コルチコステロイドです。通常これは症状が重い場合に考慮されますが、合併症のリスクがあることから長期的な服用は勧められません。

Acute and Chronic Hives - Naturopathic Approaches

自然療法

サプリメントについては、その利用が成功した幾つかの坑炎症剤があります。魚油の形のオメガ-3脂肪酸は、非常に良く用いられる治療法です。オメガ-3には、EPAおよびDHAの二つの主成分があります。これら両方は抗炎症性を有していますが、とりわけEPAは坑炎症性が高く、皮膚科疾患ではより重要であると考えられています。通常、服用量は最大数グラムが推奨されています。オメガ-3脂肪酸は、液体(油そのまま)あるいはソフトジェルの形態で処方されるかも知れません。もう一つの非常に一般的な坑炎症剤はフラボノイドのケルセチンです。ケルセチンには、坑ヒスタミン剤として、そして坑炎症剤としての両方の働きがあります[3]。一般に、ケルセチンは、アレルギー反応に携わる物質(マスト細胞のような)を遮断します。更に、ケルセチンは、非常に安全性が高く、他の治療法と併せて利用することが可能です。ビタミンCも同様の目的で利用可能です。通常、服用量はマルチビタミンの一部として服用する量よりも多く、一般に数グラムの範囲です。ビタミンCを腸が耐えられるまで服用するようにと薦める医療専門家もいますが、この場合は、下痢するまでビタミンCを服用し、その服用量を下痢が止まるまで縮小します。全身的な視点から有用と思われるもう一つのサプリメントは、プロバイオティクスです。プロバイオティクスは免疫システムに作用し、免疫システムの過剰反応を調整します。プロバイオティクスは冷蔵庫で保管し、食物と一緒に摂取するのが、最も効果的です。一般に、複数菌株の処方が良いでしょう。プロバイオティクスには、人に対して何らかの良い効果があると知られている、多くの異なる種類のバクテリアが含まれています。

一般に、鍼および中国伝統医学(TCM: Traditional Chinese Medicine)は、じんましん、特に慢性特発性じんましんの治療に利用されます。中国伝統医学では、特定の検査および診断が行われます。ここで使われる用語は、西洋医学の視点からは理解し正当に評価するのが非常に困難です(熱や湿、粘液といった言葉)。そして、中国伝統医学の診断に基づいた治療が作られ、単独あるいは併用して、ハーブや鍼が治療に用いられます。ですから、例えば、もしある人が熱を持っていると診断されたら(これは、じんましんを分類する一般的な方法です)、次に選ばれるツボは“熱を逃がす”ものです。良く治療に用いられるツボには、腕や足のツボ(LI11, SP10, ST36, SP6)といったものがあります。いったん手順が決まれば、通常は、治療中30分間、鍼灸針が挿入されます。治療は、再評価までに6週間、週一、二回行うことが薦められます[4]。

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薬草も用いられます。薬草は症例に合わせて個別化するか、様々な作用のハーブを組み合わせて混合したものを利用します。坑炎症ハーブが有効でしょう。肝臓に作用するハーブは、肝臓薬と呼ばれ、これは肌のかぶれの軽減を促す可能性があります。例えば、たんぽぽ、ごぼう、オオアザミといったものがその例です。ハーブは、ローションで利用することも可能です(カモミール、ラベンダー、アロエヴェラ、キンセンカ)これは、傷薬と呼ばれており、治癒および修復に役立ちます。免疫システムの調節を助けるハーブは免疫調整と呼ばれ、これにはゲンゲ、エキナセア、ムラサキツメクサやシソーラスといったものがあります。これらは、じんましんで見られるような過敏あるいは過剰に反応する免疫システムに湿気を与えてクールダウンするでしょう。

結論

じんましんは、急性および慢性の両方共、多数の潜在的な引き金があります。最も効果の高い治療法を決めるのに役立つことから、可能な限り原因を狭めることが重要です。ほとんどの場合、熱を避け、緩い服を身に着け、鎮静クリームを塗るといった、症状を治療するのに役立つライフスタイルの改善方法があるでしょう。従来の治療法は、坑ヒスタミンとステロイドに依存しています。自然療法では、サプリメント、鍼、そして薬草といった多数の異なるオプションが提供されます。これらの一つ一つに、良い面と悪い面とがあり、更に各々に費用もかかります。しかし通常、最良の治療法は、完全な病歴に基づいた上記の組み合わせを個別化したものです。全体として、あなたに相応しい検査や治療法を提供し、サポートしてくれる自然療法師の診察を受けることをお勧めします。